本企画は、Photoback会員の2017年4月応募イベントの当選者企画です。
「写真家“浅田政志”さんが撮る、大切な人との特別な日」
応募イベントに関しては▶ こちら
東京都新宿区、7月のある夏の暑い日、青木家では家族三人の撮影会がおこなわれました。撮影は写真家・浅田政志さん。
現在、このお家で青木家団らんの姿はもうありません。家を手放すことにしたのです。
ご応募には、
「築70年の実家を手放します。大工の祖父が建てた家でした。
とても愛着のある家ですので、引っ越す前に家と家族の思い出を残しておきたいと思っています。」
というメッセージがありました。
三代の家族が過ごした家の記憶を、一冊に綴った記録です。
写真家・浅田政志さんの撮影は、入念な打ち合わせからはじまります。
当日の撮影の舞台となるお家へ足を運び、依頼者の優佳(ゆか)さん、お父さんの章(あきら)さん、お母さんの晴美(はるみ)さんにお話を伺いました。
左から順に、浅田政志さん(写真家)、章さん(父)、優佳さん(依頼者)、晴美さん(母)
大工のおじいさまが建てた家は、増築・リフォームを繰り返し、さまざまな遍歴を遂げてきたとのこと。章さんは、懐かしそうな目をしながら、幼少期にこの家で過ごした思い出を話しはじめます。昔の写真から、当時の家の外装が残っている部分も確認できました。
時は流れ、やがて、晴美さん・優佳さんを加え家族で過ごす家となりました。
ぬいぐるみいっぱいの屋根裏部屋が、優佳さんの部屋。
壁に飾られた切り絵は、家族でディズニーランドへ遊びにいったときの思い出の品。
庭にいるカメくんが、優佳さんが子どもの頃にお祭りですくった金魚を食べてしまった事件。モーニングはパン派で、晴美さんの入れる紅茶が美味しいこと。
章さんの階段リフォームが、ものすごく暑い時期で大変だったこと。
優佳さんの撮影スタジオを自宅の二階に構えたこと。
にこやかな笑顔が似合う三人。晴れた日も、どんなに天気が荒れた日も、とびきり嬉しいニュースを聞いた日も、この世の終わりだと思うほどいやなことがあった日も、どんな日も、この家で過ごした家族の日々。
築70年のこの家のなかには、青木家を支えるかけがえのない時間が流れていました。
季節ごとに思い出深いシーンを振り返って撮影することに決め、当日は季節ごとに良く着ていた服に着替えて撮影することにしました。日常の中にある家族の姿を意識しながら。
話し終えた三人は、とても晴れやかな表情で、撮影当日も慣れ親しんだお家の中で、普段通りリラックスしながら撮影できそうです。
打ち合わせをした6月とはうって変わり、本格的な夏の暑さを感じる7月のある日。
いつもの生活を丁寧に切り取るように、撮影が進んでいきます。
早朝から始まった撮影は、天候にも恵まれ、青木家のみなさんの笑顔がとっても素敵な一日になりました。
撮影の様子の一部をご紹介いたします。
完成したPhotobackの中で、昔の写真と見比べると、年月とともに伸びた木の成長も感じられる一枚になりました。
季節:夏
場所:庭
出演:優佳さん、章さん、晴美さん
この演奏シーンは、なんと実際に三人で一曲を生演奏しながらの撮影でした。選曲は晴美さんで、映画「ビルマの竪琴」の中で歌われている「埴生の宿(はにゅうのやど)」。この曲を選んだ理由は、原題が『Home, Sweet Home(楽しい我が家)』であることを、素敵な笑顔で撮影後にお話しいただきました。
季節:秋
場所:リビング
出演:優佳さん(ピアノ)、章さん(トランペット)、晴美さん(お琴)
浅田さんに撮ってもらった写真をチェックしている晴美さんも嬉しそう!
季節:冬
場所:キッチンにて紅茶を入れる
出演:晴美さん
優佳さんがカメラマンとして活動をする中で、自宅を改装し、写真撮影ができるスタジオをつくりました。最後はここで、家族写真を撮って終了です。
季節:春
場所:二階スタジオ
出演:優佳さん、章さん、晴美さん
カメ君、ディズニーランドの切り絵、家の外観、晴美さんご兄弟の絵など。
庭のカメ君
撮った写真をみている三人
撮影後には、「家族をじっくり撮ってもらうことなんて、あまりない機会で嬉しかった」と
依頼者の優佳さんはもちろん、ご両親の章さん、晴美さんにも喜んでいただきました。
このお家の最後に、こうして思い出をカタチに残すお手伝いができてスタッフ一同嬉しく思っています。
きっとPhotobackを開けば、いつでもあの北新宿の家で過ごした大切な時間がよみがえることでしょう。
祖父が建ててくれた、親子三代過ごしてきた思い出が詰まった家。少しでも残しておきたいと思っていました。「浅田家」で有名な浅田さんでしたら、きっと“家族”を大切に撮ってくださると思い、応募しました。
最初は不安そうだった両親も、浅田さん・Photobackのスタッフさんのお人柄に安心し、遠慮なく撮影の要望を伝えておりました。家族の絆や一体感がさらに増す経験で、こんなことでもないと、父のピース姿は中々見れません(笑)
完成したアルバムも、すごく素敵に仕上げてくださり、友人や親戚に自慢しまくっています。しっかりとしたアルバムで、本当に青木家の「家宝」になりそうです。
この企画を通じて、思い出が詰まった家をスッキリと見送ることができました。益々Photobackさんのファンになりました。素晴らしい企画と気持ちを大切にしてくださったお心遣い、本当にありがとうございました!!
70年という年月を紡いだ家。玄関や階段、部屋の壁にも青木家の大切な思い出が溢れていて、まさに楽しき我が家でした。
家族の有り様が凝縮されたこの一冊が青木家の宝物になれば、これほど嬉しいことはありません。
専門学校在学中に自身を含めた家族写真を撮り始め、「浅田家」(赤々舎)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。
愛媛県松山市で開催される「道後オンセナート2018」にメインアーティストとして出展予定。
「写真家“浅田政志”さんが撮る、大切な人との特別な日」企画でできあがったFOLIOはこちら